

通算1918勝、GI勝利17を数え、フェアプレーの最高の栄誉である「特別模範騎手賞」の2度獲得は長い競馬界の歴史でも彼しか成し得ていない。 その才能は複数の書籍の出版やTV出演、さらには飲食店の経営などと多岐にわたり、様々な文化人、スポーツ選手との交流も深い。 2019年7月には、財界さっぽろにて連載していたコラムを書籍にまとめた『生涯、やんちゃ主義』を上梓する。 インタビューアーにツッコミを入れながらの異例のインタビューとなった今回。歯に衣着せぬ彼が語ったその言葉の根底にある本質に注目。
取材・記事/Neo Sports編集部

選手名 | 藤田 伸二(ふじた しんじ) |
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所属先 | 元JRA騎手(栗東) |
生年月日 | 1972年2月27日 |
出身地 | 北海道 |
身長 | 158cm |
体重 | 50kg |
血液型 | O型 |
出身校 | JRA競馬学校 |
ゴルフ歴 | 27年 |
ベストスコア | 77 |
Q.今回のインタビューを受けていただくにあたって編集部に「まず一つだけ確認したいことがある」と伺っているのですが、どのようなことでしょうか…
まずね、そもそも俺なんかがゴルフを語っていいのか?ということなんだよね。
俺は、ヒデとか(星野英正プロ)ユウサクとか(宮里優作プロ)とも仲良くさせてもらってるけども、彼らが普段どれだけ努力をしているか目の当たりにしてるわけ。
もちろん、飲んだりした時は「伸二さん、伸二さん」って俺のことも慕ってくれるけども、彼らが、しかも個人競技のゴルフっていうステージで孤独に戦ってる姿を知ってるだけに、軽い気持ちで語れないわ…、ってのが一つ。
そして、そんな彼らを見てきたのもあるけども、俺もプロの騎手としての生き方に集中してプライドをもって乗ってきたから、ゴルフは大好きなんだけども、
それはあくまでレジャーというか遊びの範ちゅうでのことなわけで、その俺がゴルフを語って失礼にあたらないか?という点。
その前提に立った上でのインタビューで良ければ、ゴルフ大好きだし、喜んでインタビュー受けるで!
Q.ありがとうございます。ぜひお願いします。まず教えていただきたいのはゴルフを始めたきっかけは?
きっかけか?そりゃ、暇を持て余してたからや…。
いきなり身も蓋もない話やが、ホンマの話やからしかたがない。
なにせ、騎手の仕事ってのは朝早くから馬の調教をつけるわけやけど、9時過ぎには仕事終わってまうやん。
しかも、騎手は体重管理でメシもよう食わんし、「じゃぁ、飲みに行くか!」って、朝の9時から飲み行くやつおらんやろ…。
つまり、平日は何すればエエんじゃ!ってことなわけ。
そんな環境やし、先輩ジョッキーや調教師なんかも、ゴルフに行く人多くてな。
そんな先輩から「馬主さんとかとの接待もあるんやし、ボチボチ伸二もゴルフ覚え!」と言われてた、ってのもあるんやけど、ぶっちゃけ「時間を持て余してた!」ってのが、本音やね。
Q.初ラウンドの記憶とかはありますか?
よう覚えとるよ。
二十歳の時やったかな。
よっしゃ俺もゴルフ始めたろ!と思って、まずしたのが道具を揃えることね。まぁ、若くてやんちゃだったし、騎手って若くして金持つやろ。もう始めると決めたら気合いが違うんよ。
「近くのゴルフファイブ行って、いちばん高いクラブセット買うたる!」って息巻いて、50万円くらいのセットを買うたんよ。アホやろ?(笑)
そのクラブ持って、練習もせんといきなりコースデビューしたんだわ。小さい頃から、運動神経には自信があったからイケるやろ!ってね。そしたら、最初のラウンドを124で回れたんよ。
周りからは、「練習もしないでいきなり124は凄いやん!すぐ100切れるで!」とか言われたけど、俺その基準がようわからんくてね。
そもそも、ゴルフのパープレーが「72」であることすら知らんかったから、「100ってなんやねん!何が凄いんだか基準がわからんわ!」と逆ギレしてたからね(苦笑)。
でも、みんなに凄い凄いって言われて、よーし、そしたら少し研究したろか!と思って、身体の使い方とかスイングとか自分なりにいろいろ研究してね。
Q.では、最初に100を切るのはかなり早かったんじゃないですか?
100切りやろ?よう覚えとるで、「2回目」のラウンドやで。
98で回ったわ。
「えー嘘でしょ!」って、インタビューワー失礼やな!しかもなんでタメ語やねん!(笑)
まぁ、みんなにもそう言われるんやけど、100切ったのは2回目の時やったわ。
しかもその時はグリップの握り方すら知らなくて、普通にベースボールグリップでプレーしてたからね(笑)。
そもそもな、プロみたいに長いコースやら難しいグリーンやら、そういうところで回るわけやないし、球打つだけやし、普通やろ!
って、プチ自慢してたら気持ちよくなってしもうたけど、俺な、本当に子供の頃から運動神経だけは良かってん。
バック転とかも見ただけでできるようになってたし、カヌーでは全道2位やったし、柔道も背負投げさせたら天下一品やで!
卓球も得意でラリーなんて永遠に続けられるし、中でもバドミントンなんかは、小学生時代からコーチとかにガチで勝ってたしね。
今でも、バドミントンの世界へ進んでたら、ちょっとは名の知れた選手になってたん違うか?と思ってるくらいやで。
ただな、なぜか中学1年の時は「バレー部」にいたんよ…。
バレーボールが強い中学やったんやけど、「バレーやったら背伸びるぞ!」って言われてな。結局、1年間球拾いだけで、「こんなんで背なんか伸びるか!」と思ってたら、転校することになってな。
次こそバドミントン部に入ろうと思ったんやけど、その頃「BE BOPハイスクール」流行ってたやろ…。俺もご他聞に漏れずヤンチャだったから、そんな仲間が多かった「サッカー部」に入っちまうわけだよ(苦笑)。
って、なんの話やったっけ?
ああ、「100切り」の話ね!
そんなこんなで2回目でいきなり「100切り」を達成しちまうわけだけど、それで俄然ゴルフおもろいやん!ってハマってね。
